yukaina_gorilla’s diary

ごりらぼくし(大麻ルーテル教会/北見聖ペテロ・ルーテル教会)です。聖書や教会のこと、社会のこと、ペットのことなど書いていきますね。

「マルティン・ルターーエキュメニズムの視点から」ヴァルター・カスパー著

枢機卿、つまりローマカトリック教会の指導者によるルター論。宗教改革500年を迎えるにあたり書かれたもので、邦訳は今年の1月に出版された。

巻末には、われらが徳善義和先生が解説をされているが、著者のカスパー枢機卿は、司教時代に、ルーテル・ローマカトリックの国際的な対話委員会のカトリック側の委員長を務めた方であるとのことだ。

普段、ルーテル教会ないしは他のプロテスタント諸派からのルター論ばかりに接している者として、カトリック側からのそれは非常に新鮮で刺激的である。また、ただカトリック側からの視点というだけでなく、副題にあるようにエキュメニズムの(教派を超えて一致を目指す)視点から書かれているので学びになる。

特に、対話を「賜物の交換」と位置づけ、相手の真理と自分の弱点を認め、互いに成長するものという枢機卿の姿勢に、共感しながら読んだ。

高柳神父様の翻訳も、とても読みやすく、すーっと入ってくる感じである。また邦訳版には、巻末に、神父様が世界史や日本史との併記でのルター生涯年表を付してくださり、これまたわかりやすい。

「ぜひみなさんも」と言いたいところだが、今調べてみたところ、Amazonでは売り切れでプレミア付きで中古本が売られている。私は、先月に本書を購入したのだが、その後、売り切れたということだろうか。教文館や全国各地のキリスト教書店には在庫があるかもしれないので、ぜひ探してみてほしい。

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W.カスパー著(高柳俊一訳)「マルティン・ルターーエキュメニズの視点から」教文館・2017年1月)1400円+税

ISBN 978-4-7642-6459-5